PMP®試験内容の2021年1月試験改訂対応について

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  • 読み物『RDSについて』
  • PMIが公表している、役割記述調査(RDS)の文書で、

    2021/1/2から新しくなる『PMP試験内容の概要(Examination Content Outline)』の内容が分かります。
    (引用:https://www.pmi-japan.org/news/pmp-examination-content-outline-july-2020-interimJPN_20190830.pdf)

    役割記述調査(RDS)で定義されている、ドメイン、タスク、およびイネーブラーについて下記のように説明されています。
    • ドメイン:プロジェクトマネジメントの実践に不可欠となるハイレベルな知識エリアとして定義される。
    • タスク:各ドメイン領域内のプロジェクト・マネジャーの基本的な責務。
    • イネーブラー:タスクに関連付けられている作業の具体例。イネーブラーは試験内容のすべてを網羅してはおらず、タスクを説明するのに役立ついくつかの例として示されていますので注意が必要です。

    試験内容の概要:公式なPMP試験に出題される問題でのRDSドメインからの出題の割合が明確になっています。 ドメインテストの項目の割合は、
    I. 人 42%
    II. プロセス 50%
    III. ビジネス環境 8%
    合計 100%


    ドメイン、タスク、およびイネーブラーの詳細について、新しいタスク構造(タスク記述およびイネーブラ例)を下記表に示します。
    特に、赤字で記載した箇所は追加された場所であり、2021/1/2の試験から新たに問われる部分と考えます。
    PM-PsQBの「eProExam」には、極力RDSを考慮した問題としています。

    ドメイン I 人 :42%

       
    タスク 1:
    コンフリクトをマネジメントする • コンフリクトの原因と進行度を判断する。
    • コンフリクトのコンテキストを分析する。
    • コンフリクトの解決に適切なソリューションを評価し、推奨し、和解させる。
    タスク 2:
    チームをリードする • 明確なビジョンとミッションを設定する
    • ダイバシティーとインクルージョンを支援する(例:行動タイプ、思考プロセス)
    • サーバントリーダーシップを重視する(例:サーバントリーダーシップの教義をチームと結び付ける)
    • 適切なリーダーシップのスタイルを決定する(例:指示的、協力的)
    • チーム・メンバーやステークホルダーに刺激を与え、動機づけし、影響を与える。(例:チームの契約、社会契約、報酬システム)
    • チーム・メンバーとステークホルダーの影響を分析する
    • さまざまなチーム・メンバーやステークホルダーをリードする多様なオプションを識別する
    タスク 3:
    チームのパフォーマンスを支える • 主要業績評価指標(KPI)に対するチーム・メンバーのパフォーマンスを評価する。
    • チーム・メンバーの成長と発展を支援し、評価する。
    • 適切なフィードバック・アプローチを決定する。
    • パフォーマンスの向上を確認する。
    タスク 4:
    チーム・メンバーやステークホルダーに権限を与える • チームの強さを中心に組織化する。
    • チームのタスクについて説明責任を支援する。
    • タスクの説明責任のデモンストレーションを評価する。
    • 意思決定権限のレベルを決定し与える。
    タスク 5:
    チーム・メンバーやステークホルダーが十分に訓練されていることを確認する • 必要なコンピテンシーとトレーニングの要素を決定する。
    • トレーニングの必要性に基づいたトレーニング・オプションを決定する
    • トレーニングのためのリソースを割り当てる
    • トレーニングの成果を測定する。
    タスク 6:
    チームを構築する • ステークホルダーのスキルを評価する。
    • プロジェクトのリソース要求事項を推定する。
    • プロジェクトのニーズを満たすために、チームのスキルを継続的に評価し維持更新する。
    • チームと知識移転を維持する。
    タスク 7:
    チームにとっての障害、障害物、ブロッカーに取り組み、取り除く • チームにとっての重大な障害、障害物やブロッカーを決定する。
    • チームにとっての重大な障害、障害物やブロッカーに優先順位を付ける。
    • チームにとっての障害、障害物、およびブロッカーを取り除くソリューションを実装するためにネットワークを使用する。
    • チームにとっての障害、障害物、およびブロッカーに常に取り組んでいることを確実にするため、継続的に再評価する。
    タスク 8:
    プロジェクトの合意事項を交渉する • 合意のための交渉の範囲を分析する。
    • 優先順位を評価し、最終目標を決定する。
    • プロジェクト合意の目標が適合していることを確認する。
    • 合意の交渉に参加する。
    • 交渉の戦略を決定する。
    タスク 9:
    ステークホルダーと協力する • ステークホルダーの関与の必要性を評価する。
    • ステークホルダーのニーズ、期待、およびプロジェクト目標の間の整合を最適化する。
    • プロジェクトの目的を達成するために信頼を構築しステークホルダーに影響を与える。
    タスク 10:
    共通理解を構築する • 誤解の根本原因を特定するために、状況を分解して分析する。
    • 合意に達するために必要な、すべての当事者に調査を行う。
    • 当事者の合意の成果を支持する。
    • 潜在的に誤解になりそうな事項を調査する。
    タスク 11:
    仮想チームとの関係を築きサポートする • 仮想チーム・メンバーのニーズ(例:環境、地理、文化、グローバルなど)を調べる。
    • 仮想チーム・メンバーが参加するための代替手段(例:コミュニケーション・ツール、コロケーション)を調査する。
    • 仮想チーム・メンバーが参加するためのオプションを実装する。
    • 仮想チーム・メンバーの参加が効果的にできているか、継続的に評価する。
    タスク 12:
    チームのグラウンド・ルールを定義する • チームや外部のステークホルダーに組織としての原則を伝える。
    • グラウンド・ルールの遵守を促進する環境を確立する。
    • グラウンド・ルール違反をマネジメントし是正する。
    タスク 13:
    関連するステークホルダーに助言する • 助言する時間を割く。
    • 助言の機会を見つけ実行する。
    タスク 14
    感情的知性(EQ)を応用して、チームのパフォーマンスを向上させる • パーソナリティ指標を使用してふるまいを評価する
    • パーソナリティ指標を分析し、プロジェクトの主要なステークホルダーに関して、感情面のニーズに合わせるよう調整する

    ドメインII :プロセス 50%

    • スコープを分解する(例:WBS、バックログ)。
    • スコープをモニターし確認する。
    タスク 1:
    ビジネス価値のデリバリーに必要な緊急性を自覚してプロジェクトを実行する • 価値を漸進的にデリバリーする機会を評価する。
    • プロジェクト全体のビジネス価値を調べる。
    • 実用最小限のプロダクト(MVP)を見つけるために、チームが必要に応じてプロジェクトタスクを細分化するのを支援する。
    タスク 2:
    コミュニケーションをマネジメントする • 全ステークホルダーのコミュニケーション・ニーズを分析する
    • 全ステークホルダーのためのコミュニケーション方法、チャネル、頻度、および詳細度を決定する。
    • プロジェクトの情報とアップデートを効果的に伝える。
    • 伝達内容が理解されており、フィードバックを受け取っていることを確認する。
    タスク 3:
    リスクを評価しマネジメントする • リスクマネジメントのオプションを決定する。
    • 反復的にリスクを評価し優先順位を付ける。
    タスク 4:
    ステークホルダーに関与する • ステークホルダーを分析する。(例:権力と関心度、影響度、関与度のグリッド)
    • ステークホルダーを分類する。
    • カテゴリー別にステークホルダーに関与する。
    • ステークホルダー・エンゲージメントの戦略を開発、実行し検証する。
    タスク 5:
    予算とリソースを計画しマネジメントする • プロジェクトのスコープと過去のプロジェクトから学んだ教訓に基づいて予算上のニーズを見積もる。
    • 今後の予算上の課題を予測する。
    • 予算の変動を監視し、必要に応じてガバナンス・プロセスに従い調整する。
    • リソースを計画しマネジメントする。
    タスク 6:
    スケジュールを計画しマネジメントする • プロジェクトのタスクを見積もる(マイルストーン、依存関係、ストーリーポイント)。
    • ベンチマークと履歴データを活用する。
    • 方法論に基づいてスケジュールを準備する。
    • 方法論に基づいて継続して進捗状況を測定する。
    • 方法論に基づいて、必要に応じて、スケジュールを変更する。
    • 他のプロジェクトや他の定常業務と調整する。
    タスク 7:
    プロダクトや成果物の品質を計画しマネジメントする • プロジェクトの成果物に必要される品質基準を決定する。
    • 品質上のギャップに基づいて、改善のためのオプションを推奨する。
    • 継続的にプロジェクト成果物の品質を調査する。
    タスク 8:
    スコープを計画しマネジメントする • 要求事項を決定し優先順位を付ける。
    タスク 9:
    プロジェクト計画の活動を統合する • プロジェクトやフェーズの計画を統合する。
    • 統合プロジェクト計画を依存関係、ギャップ、および継続的なビジネス価値に関して評価する。
    • 収集したデータを分析する。
    • 情報に基づいたプロジェクトの意思決定を行うため、データを収集し分析する。
    • 重要な情報の要求事項を決定する。
    タスク 10:
    プロジェクトの変更をマネジメントする • 変更の必要性を予測し、受け入れる(例:変更マネジメントの実務慣行に従う)
    • 変更を処理するための戦略を決定する。
    • 方法論に従って変更マネジメント戦略を実行する。
    • プロジェクトを前に進めるため、変更への対応を決定する。
    タスク 11:
    調達を計画しマネジメントする • リソースについての要求事項やニーズを定義する。
    • リソースについての要求事項を伝える。
    • サプライヤーや契約をマネジメントする。
    • 調達戦略を計画しマネジメントする。
    • デリバリー・ソリューションを開発する。
    タスク 12:
    プロジェクトの生成物をマネジメントする • プロジェクト生成物を管理するための要求事項(いつ、どこで、誰が、何を、など)を決定する。
    • プロジェクト情報が最新に保たれていること(バージョンコントロール)および、すべてステークホルダーがアクセス可能であることを確認する。
    • プロジェクト生成物の管理が有効であることを継続的に評価する。
    タスク 13:
    プロジェクトに適した方法論や方法および実務慣行を決定する • プロジェクトのニーズ、複雑さ、規模を評価する。
    • プロジェクトの実行戦略を推奨する。(例:契約、資金調達)
    • プロジェクトの方法論やアプローチを推奨する。(予測、アジャイル、ハイブリッド)
    • プロジェクトのライフサイクル全体を通して反復型、増分型の実務慣行を使用する。(例:教訓、ステークホルダー・エンゲージメント、リスク)
    タスク 14:
    プロジェクトのガバナンス体制を確立する • プロジェクトのための適切なガバナンスを決定する(例:組織のガバナンスを複製する)
    • エスカレーション・パスとしきい値を定義する。
    タスク 15:
    プロジェクトの課題をマネジメントする • リスクが課題になったときに認識する
    • プロジェクトの成功を達成するため、最適なアクションで問題に取り組む。
    • 問題を解決するためのアプローチにおいて、関連するステークホルダーと協力する。
    タスク 16:
    プロジェクト継続のための知識移転を確認する • チーム内でプロジェクトの責任について話し合う。
    • 作業環境への期待について要点を述べる。
    • 知識移転のためのアプローチを確認する。
    タスク 17:
    プロジェクトやフェーズの終結や移行を計画しマネジメントする • プロジェクトやフェーズを成功裏に終結するための基準を決定する。
    • 移行への準備が整っていることを確認する。(例:定常業務チームや次フェーズ)
    • プロジェクトやフェーズを終結するために活動を締めくくる。(例:最後の教訓、レトロスペクティブ、調達、財務、リソース)

    ドメインIII :ビジネス環境 8%

    タスク 1:
    プロジェクトのコンプライアンスを計画しマネジメントする • プロジェクトのコンプライアンス要求事項(例:セキュリティ、安全衛生、法規制の遵守)を確認する。
    • コンプライアンス・カテゴリーを分類する。
    • コンプライアンスに対する潜在的な脅威を決定する。
    • コンプライアンスを支援する方法を使用する。
    • コンプライアンスに従わない場合の結果を分析する。
    • コンプライアンス・ニーズ(例:リスク、法)への対処に必要なアプローチとアクションを決定する。
    • プロジェクトがどの程度コンプライアンスを遵守しているかを測定する。
    タスク 2:
    プロジェクトのベネフィットと価値を評価しデリバリーする • ベネフィットが識別されていることを調査する。
    • 継続したベネフィット実現のため、オーナーシップについての合意を文書化する。
    • ベネフィットを追跡するための測定システムが機能していることを確認する。
    • 価値を実証するため、デリバリー・オプションを評価する。
    • 価値を獲得しているステークホルダーを評価する。
    タスク 3:
    スコープに影響する外的ビジネス環境の変化を評価し、対処する • 外的ビジネス環境(例:規制、技術、地政学、市場)に対する変化を調査する。
    • 外的ビジネス環境の変化に基づいて、プロジェクトのスコープやバックログへの影響を評価し、優先順位を付ける。
    • スコープやバックログを変更するためのオプションを推奨する。(例:スケジュール、コストの変更)
    • プロジェクトのスコープやバックログへの影響について、外的ビジネス環境を継続的に調査する。
    タスク 4:
    組織の変革を支援する • 組織の文化を評価する。
    • 組織の変化がプロジェクトに与える影響を評価し、必要なアクションを決定する。
    • プロジェクトが組織に与える影響を評価し、必要なアクションを決定する。


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